第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「シャトシ…」
ジュンフィスが、顔を上げた。
「ジュンフィス…」
その表情は、キラキラと輝いていた。
子供みたいに純真で…
可愛い…
思わずちゅっとキスしたら、ジュンフィスは真っ赤になって。
ゆっくりと身体を近づけて、キスをくれた。
「俺は、ジュンフィスが好きだよ…」
「シャトシ…」
「ジュンフィスは?」
もういいや…男だって、古代人だって、ファラオだっていい。
俺、ジュンフィスがすきだもん。
「す…きだ…」
「嬉しい。嬉しいよ…ジュンフィス…」
またキスをしたら、またジュンフィスも返してくれて…
何度も何度も、キスをしてたらいきなり押し倒されて。
がばっと覆いかぶさって、俺の顔をじっと見つめた。
「…どうしたの…?ジュンフィス…」
「シャトシ…ナイルの娘よ…」
「え?」
いきなりなんでそんな呼び方…
「俺は決めた」
「なにを?」
「姉上との婚儀は取りやめる」
「え?」
「もちろん、アッカドの姫も帰す」
「う、うん…?」
ぎゅっとジュンフィスは目を閉じた。
そして、その大きな目を再び開くと、俺を射殺すような目で見た。
とても真剣な…
男の…王の目だった
「おまえを、俺の妻とする」