第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「なぜこのように…胸が苦しいのだ…」
ジュンフィスの長い髪が、俺の顔に垂れ下がってくる。
震えてる…?
ジュンフィス…
「教えてくれ…シャトシ…」
ジュンフィス…
それって…
それってさ…
少し腕に力を入れて、ジュンフィスの肩を押した。
身体を起こして座ると、伏せているジュンフィスの髪を撫でた。
「ジュンフィス…」
少し、顔を上げた。
俺のこと、涙にあふれる目でまっすぐに見上げてくる。
「それは、さ…」
頬に流れていた涙を、親指で拭う。
「それが…すきってことだよ…?」
そう言うと、またジュンフィスの目がまんまるに見開かれて。
それから、座ってる俺にしがみつくように抱きついてきた。
「シャトシっ…これがすきというものなのかっ…」
「うん…多分…」
「これが…こんなに熱いものなのかっ…」
「うん…」
俺も身体が熱かった。
ジュンフィスと、もっとくっついて…
もっと一緒に気持ちいいこと、したくって…
熱い…
「なんでかわからぬが、おまえの顔が見たかった」
「うん…」
「なんでかわからぬが、おまえと寝たかった」
「うん、うん…」
「…おまえと離れ難かった…」
「うん…俺もだよ…?ジュンフィス…」