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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


「シャトシ…」

今だけ…
今だけでもいいから、ジュンフィスを独り占めしたい。

本当は俺だけのものにしたい。


知らなかった。
俺の中にこんな感情あるなんて。
今までこんなこと、人に思ったことなかったのに…


でも…ジュンフィスは、ファラオだから…
この古代王国の、王なのだから…


そんなわがまま…言っちゃいけない


「ジュンフィス…すき…」

もう一度伝えると、ジュンフィスの顔がくしゃっと歪んで。
太い眉毛がぐうっと寄せられて。

「すき…とはなんだ…?」
「え…?」
「シャトシ…教えてくれ…」
「ジュンフィス…?」

その大きな目から、ポタポタと涙が落ちてきた。

「なぜこのように泣くのだ…?なぜだ…シャトシ…」
「ジュンフィス…」
「教えてくれっ…これは一体何なのだっ!?」

ぎゅうっとジュンフィスが俺のこと抱きしめて。
痛いほど抱きしめられて。

「ジュンフィス…?」
「ナイルの娘なら、わかるだろう!?胸が痛いっ…これがなんだか、わかるだろう!?教えてくれっ…」

それって…

「ジュンフィス…?ねえ、ジュンフィス…」

俺にしがみつくようにジュンフィスは抱きついて、顔を見せてくれない。

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