第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
少し、困ったような
戸惑ったような顔をして
ジュンフィスは頭に被ってる日除けを取りながら、ゆっくりと俺に覆い被さってきた
その表情も、なんだか可愛いって。
俺、病気なのかなあ…?
そのままじっと俺の顔を見てる。
少年みたいな…純真な目…
そのむき出しの背中を引き寄せて抱きしめると、なんだか酷く満たされて。
ぎゅっと抱きしめられると、もっと満たされて。
ああ…ずっとこうしていたいなあって…
こんなこと、思うの初めてで。
人に対して、こんなこと思ったことなくて。
女の子にだって思ったことないから、なんだかよくわからなくて。
相手男だし。
古代エジプトの王だし。
「もお…わけわかんないよお…」
「ん…?」
わからないから、ぎゅっと抱きしめた。
「苦しいぞ…シャトシ…」
「あ…ごめん…」
少し腕の力を緩めると、ジュンフィスは身体を起こして、また俺の顔をまじまじと見る。
「なに…?」
そっと俺の髪を撫でる。
髪の先には、なんだかビーズとか装飾が勝手につけられてて。
女官が面白がって、いっぱいつけていったから、頭がちょっと重い。
長い髪がもっと長くなってる。
それをジュンフィスは、そおっとそおっと…
何度も何度も撫でて、手で弄んだ。