第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
なんか…おかしいぞ…
いつも、こんなふうにはならないのに。
しがみついてたら、いつの間にかジュンフィスの寝室に来てた。
室内は相変わらず薄暗くて。
この前よりも、明かりは少なかったから、もっと薄暗い。
ベッドのような寝台はきれいに整ってて。
その上に、そっと寝かされた。
天井からぶら下がってる薄い布を紐で縛ってまとめてあるのを、ジュンフィスが解いて。
さらりと衣擦れの音がしたかと思うと、寝台は薄い布で覆われた。
寝台から外は布に遮られて、淡く白く…
ふたりだけの小さな空間ができた。
ふたりきりなんだ
今、ここで…俺とジュンフィス…
たったふたりしかいない
なんだか、思い切り甘えてみたくなった。
なんだか、思い切り抱きしめてもらいたくなった。
身体の奥が、ずっと熱くて。
胸の奥が、ずっとおかしくて。
寝台の上で膝立ちのまま俺を見下ろしてるジュンフィスに向かって、腕を広げた。
なんでそうしたか、わからない。
でも、甘えてみたいのも、抱きしめて欲しいのも…
ジュンフィスがいいと思った。
「ジュンフィス…」
掠れた、甘えた声が出た。
でももう、恥ずかしくはなかった。