第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
寝顔を見てたはずなのに…
次に目を開けたら、俺は空を見てた。
小さく切り取られたように、青い空が見える。
あれ…箱庭の天井だ…
なんで天井見てんだろ…?
そしてなんだか背中が温かい。
「…よく寝ていたな…」
ジュンフィスのむすっとした声が聞こえた。
「…ほえ…?」
なんと。
ジュンフィスに抱っこされてるではないか。
後ろから俺を抱えて、途方にくれたような顔をしてる。
「わ…わ…ご、ごめんっ…重かったでしょ?」
慌ててどこうとしたけど、ジュンフィスは離してくれない。
「このように、俺に寝顔を見せる女は初めてだ」
「ご…ごめん…あの…」
「なんだ」
「だから、俺…」
男なんだけどって言いかけた時、不意にジュンフィスの顔が近づいてきた。
「ん…?!」
唇に柔らかい感触。
温かくて…久しぶりの、柔らかい…
キス…してる…
ちょっとまて…
俺、キスしてる…?
「じゅ…ん…」
「こんな女初めてだ…バカ…」
そう言いながらも、ジュンフィスのキスはいっぱい降ってきて。
「ま…待って…」
なんか、苦い。
あ、さっき、マサスの家に伝わる薬を塗ってたんだ。
「…なんか、苦いぞ…」
「ご、ごめん…さっき、マサスからもらった薬、傷に付けたから…」
「ふん…あの薬はよく効く」
「知ってるの?」
「マサスの母親は、俺の乳母だからな。小さい頃は一緒に育った」
ああ…だから、さっきあんなに怒ったのか…
もしかして、唯一の友達…みたいな存在なのかな…?
だからあんなに怒ったのかな…
またジュンフィスの顔が近づいてきた。
「ま、待って…薬…」
「いやだ」
いっぱいいっぱいキスされて。
なんだか、抵抗できなかった。
するりとジュンフィスの手が、ワンピースの中に入ってきた。