第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「…変わっているな、シャトシは…」
「へっ!?そう!?」
あまりに集中してて、毟りすぎたかな。
ジュンフィスは苦笑いすると、勝手に俺の膝を枕にしてベンチに寝転んだ。
「む…男のように硬い腿だな…」
「悪かったね…」
目を閉じてしまったから、顔を見てるしかなくて。
わ…まつげ長い…
くるんって、してる。
眉毛はこんなに男らしいのに、まつげはなんか女の子みたいだな…
今日は船に乗っていたからか、装飾も控えめな感じで、頭に布製のシンプルな日除けの帽子を被ってる。
その布の間から、長い髪が出ている。
上半身は相変わらず裸で、首周りに豪華な襟飾りをつけてる。
腰には白い麻布が巻かれてるだけだ。
帽子の頭に手を置いてみた。
なんか…可愛い…
なでなでしてみたら、怒られるかなって思いながら、なでなでしてみた。
「……」
あ、怒らない。
じゃあ…なでなでしてもいいのかな…?
ゆっくりと、なでなでしてると、ずしっとジュンフィスの頭が重くなった。
「ジュンフィス…寝た…?」
答えはなくて。
暫くしたら、すうすうと心地いい寝息を立てて眠ってしまった。
「ふふ…疲れてたの…?」
まあ、疲れるよな…王様だもんな。
俺だったら絶対無理。
だって、現場の責任者だって無理だもん。
絶対絶対大変だもん。