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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


ものすごいスピードで、どっかに連れて行かれた。
気がついたら、王宮の中庭みたいなとこに来てる。
ぐるっと周りを石造りの建物に囲まれてる中に、箱庭みたいな中庭があった。

「ふん…ここまで来たら、民も追いつけまい…」

どさっと俺をベンチに下ろすと、不機嫌な顔で隣に座り込んだ。

「おまえ、偉そうだな」
「え…そ、んなことはないんだけども…」
「王に向かってそのような口をきく者なぞ、いないぞ」
「ご、ごめんなさい…」

だって…倫理観違いすぎるんだもん…
古王国時代はやっぱり、野性的すぎる。
俺にはどうしていいやら、ちっともわからない。

「あの…」
「……」

むっつりと黙り込んで、足を組んで、革製のサンダルのササクレを取っている。

「ジュンフィス…?」
「…なんだ」
「あの…ごめんなさい…」
「ああ…」

なんか…たくさんササクレあるなあ…

ちょっとうずっとした。
ササクレ取るの好きだし。

じーっと手元を見て黙ってたら、いつの間にかジュンフィスは俺の顔をじっと見ていた。

「…楽しいのか?」
「えっ…うん…」
「なにが楽しいのだ…」
「その…俺も取ってもいい?」
「はあ?」

呆れて手が止まっていたから、そっと手を伸ばしてササクレを毟った。

…楽しい…

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