第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「わあ…」
デザインは太陽の船によく似ていた。
それよりも、もっと大きくて広いけども。
ああ…やっぱりここは、エジプトの古王国なんだ…
「スゴイっ!スゴイっ!」
もっとよく観たくて、マツーオカ将軍を引っ張るように近づいていく。
「な、ナイルの娘っ…」
「早く!早く!将軍っ!」
ワンピースの裾が邪魔で、ちょっと持ち上げて小走りになる。
船着き場は石畳になっていて、広大な広場になってる。
その向こうにはいくつもナイルを下る船が見える。
その船からこちらに手を振っている。
「わ~!すごーい!漁の帰りかな?」
「ナイルの娘…」
マツーオカ将軍は苦笑いしながらもついてきてくれる。
「そんなに走っちゃだめですっ!ナイルの娘!」
「そうですよお!コケちゃうんだから!」
ダーオカとマサスも慌ててついてきてるのが可笑しい。
「あ…王がいらっしゃいましたよ…」
大きな船の近くで、大きな人だかりができている。
迎えに来た民衆の一段上になっているところに、ジュンフィスが立っていた。
民に向かって、偉そうにえっへんしている。
「わー!偉そう!」
「こ、これ!ナイルの娘!」
「あっ…そっか、偉いんだもんね…」