第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
そうだった。
ここで一番偉い、王なんだもんね…
そら、ドヤるわな。
「おお…王がこちらを見ておられる。ナイルの娘に気づかれましたかな?」
立ち止まって群衆とジュンフィスを眺めていたら、マツーオカ将軍が微笑んだ。
「手を、王にお振りになってみては?」
「えっ…いいよ…別に…」
ジュンフィスは、なんかツンとした顔をしてこっちを見てる。
なんだよ…なにが気に入らないんだろ?
「ほっ…ほらっ!ナイルの娘!早く手を振って!」
マサスが慌てて俺の手を取ってブンブン振り始めた。
「ちょ、肩の関節抜けるって…!」
「おお~!王のご機嫌が良くなってきた!ほら、もういっちょ!」
調子に乗ったマサスがますます俺の手をブンブンする。
体がフラフラして、まるでダンスを踊ってるみたいになってる。
でも俺がマサスにぶら下がる格好になってるんだけど。
「ま、待ってっ…ちょおっ!」
「おい!おまえ!ナイルの娘が痛がっているだろ!」
ダーオカがマサスを後ろから羽交い締めして、地面に倒れ込んだ。
「ぐあああ~~~!?」
「これでどうだっ!?」
なんか…プロレスの技みたいなの掛けてる…
腕を足で挟み込んで、逆方向に捻じ曲げてる。
痛そう…
「むりむりむりむり~~~~!」
「参ったかっ!」