第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
マツーオカ将軍は、おや?というように片眉を上げた。
「…王のことが気になりますか?」
「い、いや…気になるっていうか…」
だって、ここの全権握ってるのジュンフィスだし。
お願い事なら、直接言いたいし。
それに…あの日、あんな落ち込んだ顔をしてたから、どうしてるのかなって…
「もしかして、ナイルの娘、惚れちゃいました?王に…」
「ま、マサス!何言うんだよ!だから、俺はっ…」
男だからっていい掛けたら、外が騒がしくなった。
ナイル川の方から大勢の声が聞こえてくる。
マツーオカ将軍の顔を見ると、にっこり笑った。
「今日は王が視察に出ていたので、今、お戻りになったんでしょう。外に行ってみますか?」
そう言って手を差し伸べてきた。
「わあっ…外に出てもいいの?」
「お迎えだけですぞ?」
マツーオカ将軍に手を引かれて、ナイル川に出た。
「ナイルの娘っ落ちないように気をつけてくださいねっ!」
「わ、わかってるよ!」
マサスとダーオカが後ろに控えててくれるから、ナイルに落ちる心配はなさそうだ。
またワニに会ったらやだから、助かる。
外のデッキみたいなところを少し上流の方に歩くと、船着き場が見えた。
そこには、この前の軍船よりも一回り小さい、でも豪華な装飾の船が繋留されてる。