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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


ゆっくりと俺に顔を近づけてくると、俺の唇の切れてるとこをベロリと舐めた。
ピリッと染みたような痛みが走る。

「痛っ…」
「すまないっ…痛いか…?」
「す、すこふぃ…」

口の中まで腫れ上がってきて、もう喋りたくない。

「シャトシを寝台に寝かせてくれ…」
「…でも、ジュンフィス…」
「そして、サクミル…姉上の話し、聞かせてくれるか…?」
「え…?」
「話を聞きながら、シャトシの治療をするから」

そう言うと、出口まで行って、ドア代わりの布を捲くりあげると、女官になにか言いつけてる。
サクミル王子は、俺と目を見合わせると、苦笑いした。

「…まあ横暴なやつなんだけどさ…ああいう素直なとこが憎めないんだよな…」

うん…なんか、わかる気がする…
子供みたいで…信じたものは疑わない純真さがあるんだよな…

「して…シャトシ…」

ん?と顔を上げると、サクミル王子は真面目な顔をしていた。

「…ナイルの川の娘とは、本当なのか…?」

ええっ…!?

「本当に、ナイルの神なのか…?」

どうして…どうしてそれを知ってるんだ…?
だって、サクミル王子は外国人で…
ジュンフィスならまだしも。

俺のこと、なんで知ってるの…?



ニヤリと、サクミル王子は笑った。

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