第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「許さんぞっ…!」
突然、ジュンフィスが怒鳴った。
「サクミルもシャトシも、俺の知らぬ間にエジプトを出ることは、ならぬからなっ…」
「何を…アッカドはエジプトの属国ではない!おまえに指図される覚えはない」
「ここは、エジプトだ!俺の王宮だ!外国の者とはいえ、好きにさせない」
「はっ…何を言うか…本当に自分勝手だな…」
憎しみのこもった目で、サクミル王子はジュンフィスを睨みつけた。
「俺のバージン奪ったくせにっ!」
はあ?
「どうすんだよ!今まで男なんか興味なかったのにっ!」
「し…知るかっ!おまえだって気持ちよさそうにしてたじゃないかっ!」
「酔っ払ってたんだよっ!それをおまえがあんなことをするから…!」
「だあ!酔っ払うと、女みたく色っぽくなるからだろぉっ…」
「え…?」
「その…サクミル、凄く、色っぽかったから…だから…我慢、できなかった…」
「ジュンフィス…」
素っ裸のふたりは見つめ合った。
「…ごめん…言うこと、信用しなくて…でも、姉上は…」
意外に素直に、ジュンフィスは謝っている。
「…まあ、ジュンフィスにはいい姉貴なんだろうがな…」
サクミル王子を見て頷くと、ジュンフィスは俺を見た。
「すまなかった…シャトシ…」