第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
なにをしたも…
「なんにも…してない…」
っていうか…俺がされたのに…
じわりと涙が滲んできた。
「どうした…?シャトシ、泣いているのか?」
ジュンフィスが濃い顔を近づけてきた。
なんだよ…さっきまで姉上になんかしたのかって怒ってたくせに…
俺…そんな理由で、こんなとこに飛ばされたの…?
意味がわからない
弟の墳墓を見つけられそうだったから…?
弟の恋人を追い出すため…?
なんで…なんでそんな下らない理由で、未発見の王墓を発見しそこなうなんて…
…いや、待て…
そもそも俺は、今どこにいるんだ。
その未発見の王の目の前にいるじゃないか…
俺、もしかして…
今の世界の考古学界の誰も知らないことを、目撃できるチャンスなの…!?
なんだか、目の前がぱあっと明るくなってきた。
それと同時に、なんだかワクワク…
そして、殴られた頬は、ズキズキ…
「シャトシ…?その頬は…?」
さっき、力任せに殴られた頬が腫れ上がってきた。
「あーあ…そりゃ、酷くやられたね…どうせ、ニノシスだろ?」
気がついたら、ジュンフィスの後ろにサクミル王子が立っていた。
こちらも何も身につけておらず、丸見え…
せめて隠せ…頼むから…
立派なのはわかったから…