第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「あれ…シャトシ…あれ…?」
ジュンフィスは、呆然と床に転がってる俺とニノールを見比べてる。
「シャトシがなんかしたのか…?」
「この者が急に襲いかかってきたのですっ…」
「はあ?おまえ…姉上に何をした!」
ジュンフィスは素っ裸のまま、俺の前に仁王立ちした。
ちょ…丸見えなんだけど…
ベッドの蚊帳の中がもそっと動いたと思ったら、サクミル王子がだるそうな顔を出した。
「じゅーんふぃすー…まだぁ…?」
「おお…サクミル、ちょっと待ってろ…」
「あれ…?ニノシス王女よ…また邪魔しに来たわけ?」
え?
ニノシス?
サクミル王子の目線は、ニノールに注がれている。
「もお…俺のほうがジュンフィスの寵愛が深いからって、相変わらず嫉妬深いんだから…」
「うっ…うるさいっ…!アッカドの雄がっ!」
ニノールは立ち上がると、プンプン怒りながら寝室を出ていった。
そういえば…
サクミルを追い出せるとかなんとか言ってた…
え?
って、ニノールって男だったよな!?
「おい…シャトシ…」
呆然としてると、ジュンフィスの濃い顔が目の前に来た。
「うっわあっ…びっくりしたあっ…」
「おまえ…姉上に何をしたのだ!?」