第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「いい機会だから教えてあげる…」
いきなり扇子を振り上げたかと思うと、思い切り頬を叩かれた。
「っ…なにするんだよっ…!?」
寝起きの俺は非常に機嫌が悪かった。
だから、女の人だというのに、飛びついて床に押し倒してしまった。
「無礼者っ…ジュンフィス助けて~~~!」
「なっ…何を言ってるんだ!?」
ニノールはニヤリと笑うと小さな声で囁いた。
「おまえが掘っていた、あの横穴…あの先にジュンフィスの墓がある」
「…えっ…!?」
「今まで発見されないように、細心の注意を払って守ってきたのに…そなたのせいだからな…?」
「嘘だろ…?」
あんなところに…?
だって、地中探査機じゃなんの反応もなかったのに…!
「機械に細工をすることなど、なんのことはない…愚かな学者風情に見抜けるわけがなかろう…」
そんな…!
本当に未発見の王の墳墓が…眼の前にあったのに…!
呆然としていると、ニノールに強い力で突き飛ばされた。
「無礼者ぉっ…無礼者ぉっ…」
狂ったように叫びだすと、蚊帳が大胆に開いて、ジュンフィスが出てきた。
「姉上!一体何だと言うんだ!俺の寝室で何を騒いでおる!」
あ、姉上…?