第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「ちょっと…起きなさいよ…」
囁く声で目が覚めた。
「ふにゃ…?」
「なんであんたがココで、サクミルの奴があそこに居るのよ…」
チッという舌打ちをしてるのは、女性…?
豪華な刺繍の衣装に身を包んで、ベッドのほうを見てる。
やっと眠りに入ったのに邪魔されて、至極俺は機嫌が悪かった。
「なに…?誰…?」
その女の人は、こっちを振り向いた。
「え…?」
どこかで…見たことがある…
「あんただったらジュンフィスの好みだし…上手いことサクミルを追い出せると思ったのに…」
その目には見覚えがあった。
「え…もしかして…ニノール…?」
ってまた、どうせそっくりさんだろ…
もうわかってきた。
この時代の法則。
ダーオカが出てきたんだから、ニノールだって出てきたって不思議じゃない。
ニノールは冷たく微笑んだ。
「え…?」
「…意外と物覚えがいいのね…」
「えっ…俺のこと、わかるの!?」
ニノールは更に冷たい笑みを浮かべると、立ち上がった。
「わかるもなにも…」
ふふふと笑うと、畳んだ扇子の先で俺の顎を持ち上げた。
「私があなたをここに連れてきたんだもの…」
「は…はあっ…!?」