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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -


「智…」
「ん…?」

ベッドの中、智はよく眠れないみたくて。
何度も寝返りを打ってた。

「眠れないの?」
「ああ…ごめん…」
「ううん…」

俺も、眠れなかった。

窶れた翔ちゃんの笑顔が…ずっと、まぶたに焼き付いてて…

こっちに背中を向けたまま、智はなにか考え込んでる。
そっと後ろから抱きしめると、智はこちらに体を向けた。

「あのな…」
「ん…?」
「思ったんだけど…翔くんさ…」
「うん…」
「もしかして…」

暗闇の中、じっと智は俺の目を見つめてくる。

「…うん…」

言わなくても、わかった。

「もしかして、俺たちのこと…待ってるのかもしれない…」

いくら考えても、翔ちゃんが俺たちのこと避ける原因がわからない。
今日、こうやってここに来てくれたってことは、少なくとも軽蔑をしてるとかそういうことじゃないのはわかった。

生活も仕事も順調で…
なのにあんなに窶れるほど、なにかを抱えてる。

俺たちは…臆病で…

でも翔ちゃんは、もっと臆病で…

小さい頃からそうだったからわかるんだ。
もしも拒絶されたらどうしようって、頑なになってしまうんだ。

「どうしたら…いいんだろうね…」

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