第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -
「ありがたいけどさ…遠慮しとくよ…」
ポンポンと智の肩を、翔ちゃんは叩いた。
「翔ちゃん…」
「俺だけ布団って、寂しいじゃん?」
そう言って、翔ちゃんは玄関に向かった。
「どういう意味…?」
翔ちゃんの背中に問いかける。
俺たちのこと…知ってるの…?
「だって…そのベッドは、智くんとニノが寝るんだろ?」
翔ちゃんはこちらに顔を向けず言った。
「じゃあ…おやすみ」
パタンと玄関のドアが閉まるまで、俺と智は何も言えなかった。
「…どうしよう…」
「和也…」
「やっぱり、嫌われたんだ…」
「違う…」
「違わないだろっ…あんなことっ…」
「だったら、今日だって来てないだろ…?」
ぐいっと体を抱き寄せられた。
「智…」
「わからない…わからないけど…嫌われてはない気がする…」
じゃあ、なんで…?
なんで俺たちのこと避けるの…?
なんでそんなに痩せたの…?
じわり、涙が滲んでくる。
我慢しても、勝手に身体が震えて…
「泣くなよ…和也…」
「うん…」
なんでそんな風になってしまったの…?
どうして何も言ってくれないの…?
俺たちのこと、必要じゃなくなったの…?