第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「サクミル…」
「ね…ジュンフィス…いいだろ…?」
なんだか、顔を近づけて…
そんで…ちゅーしてるっ!!
「う…うわぁぁぁっ…」
見てはいけないものを見たようで、目を手で覆い隠した。
だって、あんなふたりとも、男じゃんっ!
俺よりも背が高いし、俺よりも筋骨隆々じゃん!
な…なんでっ…あのふたりがっ…!?
って、さっきから、「俺でもいいだろう」って言ってたのって…
そういうことだったんだ!
妹を嫁がせようとしてるのに…いいのかよ!?
「うそおん…きょうだいどんぶり…」←なにげに下品な大野
まあ…でも…
古代じゃ珍しいことじゃない。
エジプトだってヨーロッパのハプスブルク家だって、近親相姦の末に健常な子が生まれなくなって、直系の血が途絶えて、王朝が何度も滅びてる。
娘が父に嫁ぎ、妹が兄に嫁ぎ…
そんなことを繰り返して、王朝の財産が散らばらないようにしてたんだ。
「いやでも…もーほーは…記録ないよなあ…」
日本じゃ、飛鳥時代から江戸期に掛けて、そういう文化が確認されてるけども…
エジプト古王国時代だと…少年愛を禁止する神様がいるくらいだから、少年愛なもーほーはあったとは思うんだけど…
「こいつら、成人男子じゃないかあ…」