第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「へ…へっ!?」
「アッカドの女にはない、神秘的な魅力だ…」
サクミル王子の、白皙のいい男顔が近づいてくる。
うっとりとした目をして、俺の唇に…
「んだぁあ!どけよっ!サクミル!」
「んだよ!お前こそどけよっ!ジュンフィス!」
「だめだって!今日はシャトシと寝るんだから!」
「だーかーらー!こんなヘンペーパイパイ女なら、俺でもいいだろう?」
「おいっ…サクミル!」
俺…別に女じゃないけど…
そんなにヘンペーパイパイ連呼されたら、なんか傷つく…
なんて思ってたら、ベッドの上で、ふたりは取っ組み合いを始めた。
「ちょ…ちょお…喧嘩するなら、降りてよ…」
なんて言っても耳に入ってないみたいだから、仕方なく揺れるベッドの上から降りた。
なんかもう、眠くて…
寝室に置いてあるベンチの上に横になろうと座り込んだ。
「どけって!」
「いやだ!」
「もおお!サクミル!言うこと聞けよっ!」
「やだっ!だったら、俺を抱けよ!ジュンフィスっ…!」
衝撃的なセリフが聞こえたと思ったら、ベッドの上は静かになった。
「ほえ…?」
振り返ると、ベッドの上で…
サクミル王子が、ジュンフィスを抱きしめていた。
…もーほー…?