第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
そして、高貴なお育ちらしい傲慢さで、俺を見下ろした。
「私はアッカドの第一王子、サクミルだ」
やっぱり!アッカド帝国の王族だったか…!
アッカド帝国とは、今のイラク付近にあった帝国で、メソポタミア文明の流れを汲んでいる。
考古学者の一部では、史上最強の帝国とも呼ばれている。
「ふん…こんな馬鹿な女でもジュンフィスは満足なのか…」
ベッドに乗っかってきて、俺の隣にどさっと寝転んでしまった。
「な、何してんだよ!サクミル!」
「今日はここで寝るからなっ!ジュンフィス!」
「てめえ、出てけ!今日はシャトシと寝るんだからなっ!」
ジュンフィスも乱暴にベッドに乗っかってきた。
グラグラとベッドが揺れる。
「…妹と寝るなら、出ていってやってもいいがなあ…?」
ギロリとサクミル王子がジュンフィスを睨んだ。
「ああん!?だって、お前の妹…好みじゃないんだもん…」
「また、もんっかよ!そんな拗ねた顔したって、どかねーからなっ!」
なんかスゴイ会話してんだけど…
妹ってことは…アッカドの王女だよなあ…
エジプトに嫁入りさせようってことだろ?
で、なんで兄貴の第一王子がここにいるんだ…?
しかも櫻井教授とそっくりな顔で…
「ん…?」
サクミル王子は俺の顔をまじまじと見た。
「そなた…平たい顔族か…?」
「あ、うん…まあ…」
つか、サクミル王子も相当日本人顔なんだけど…
つか、見れば見るほど、櫻井教授にそっくりなんだが。
「へえ…よく見ると、可愛い顔をしておるな…」