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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -


深夜まで、喋り続けた。

本当によく喋って…
小さい頃の話から、今の仕事の話まで。
たくさんたくさん喋った。

まるで会えなかった一年を埋めるみたいに。

「…そろそろ、帰ろうかな…」

0時を過ぎた頃、翔ちゃんは立ち上がった。

「え…もう…?」

帰したくない。

「泊まっていけば…?」

そう言ってみたけど、翔ちゃんは微笑んで首を横に振った。

「ここ、智くんの家だろ?」
「あ…」
「なんでニノが泊まってけっていうんだよ」
「と、泊まっていきなよ!翔くん」
「智くん…」
「もっと、話したいこと…あるし…」

ぎゅっと智が翔ちゃんの腕を握った。

こんなこと、智がするなんて珍しくて。
翔ちゃんはびっくりした顔をしてたけど、そっとその腕を離した。

「嬉しいけど…帰るね…」
「翔くん…」
「俺の寝る布団、ないでしょ?」
「あ…」

そうだった。
ここには智のベッドしかなくて。
いつも俺たちは同じベッドに寝てるから、そんなこと思いつきもしなかった。

「セミダブルじゃ…3人で寝られないでしょ…」

少し寂しそうな顔をして、翔ちゃんが呟いた。

「じゃあ、次までに布団用意する」

智は頑固な声を出して俯いてしまった。

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