第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「おいっ…!」
頭がまだクラクラしてたから、壁に手をついたままいたら、ジュンフィスが俺の腕を強引に引っ張った。
「あっ…」
女たち(多分あれは、王宮に仕える上級女官なんだろう)に無理やり着せられた、麻の白いワンピースの裾を思い切り踏んづけて、ジュンフィスの腹に頭突きをかましてしまった。
「うごふっ…」
ジュンフィスは吹っ飛んで、ベッドにぼすっと埋まってしまった。
「ご、ごめんっ…!」
慌ててベッドに駆け寄るが、その途中でヘナヘナと崩れ落ちてしまった。
「もお…だめだあ…」
腹が減って動けなくなった。
「…おまえ…なんと無礼なっ……ってどうした?」
ジュンフィスは腹を擦りながら、ベッドから降りてきた。
「ご…めん…腹、痛かった…?」
「あ、ああ…それよりも、そなた具合が悪いのか?」
さっきは凶暴とも思ったけども、純真な顔をしてジュンフィスは俺の顔を覗き込んできた。
「ううん…そんなわけじゃないんだけど…」
顔が松本そっくりだから、王なのにタメ口になってしまう。
「では、いかがしたのだ」
心配そうな顔で、俺のこと抱き上げた。
案外、いいやつなのかも…
「お腹…減った…」