• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


「ナイルの娘よっ!」

いきなりバサッと入り口の布が大きく開いた。
ぬうっと大男が入ってきた。

「うわぁぁぁっ…マツーオカ将軍!」
「遠慮するとは…なんと!なんと…」

なんだか知らないけど、すっごい泣いてる。

「そうですよお!将軍!ナイルの娘は、本当に神の娘だ!」

マサスも号泣してる。
一体何なんだ!

「ぜひ…この服を着てください…」

床にひれ伏して、俺に服を差し出してくるから参った…

「わ…わかったから…顔を上げてください…」

そう言って、服を受け取ると、ますます二人は泣き出した。

「なんとお優しいのだ…」
「そおですよお…あの暴君とはちがう…」
「本当に神の娘なんだな~…マサス~!」
「マツーオカ将軍~…!」

とうとう抱き合って泣き出した。

「な…なんなんだ…」

ふたりは泣くだけ泣くと、もう一度俺にひれ伏してから部屋を出ていった。

「朝になったら、都に着きますから…それまでどうぞごゆっくり眠ってください…」
「都って…?」
「イネブ・ヘジです」

ああ…やっぱり…

ひとりになって、豪華な刺繍の入った服を着た。
女物だったけど…

「ああ…疲れた…」

ぼふっともふもふの布団に倒れ込んだ。

イネブ・ヘジとは…
今は、メンフィスと言われている。
後の世につけられた名前だ。

現代エジプトだと、もう誰も住んでいない。
遺跡しかないんだ。



「ここ、古王国時代だ…」


/ 831ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp