第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
誤解を解くために、俺は月食のメカニズムを説明した。
「だぁから…太陽がさここにあって。俺たちの住む地球がここにあって…で、月がここにあるでしょう…?」
みっつ、適当にものを使って説明するけど、うまくできない。
そもそも地球が球体だっていうのから説明しないといけなかった。
「ナイルの娘よ…チキュウとやらは…この、ナイルの流れる地面は丸いのか…?」
「そう!そういうことなんだよ!月とおんなじでまあるい形してるの!」
「なんと…!なんということだ…!」
兵士たちがザワザワとざわめく。
その中には、マサスもいる。
後ろにはいつのまにか、マツーオカ将軍までいた。
「ラー(太陽神)が我々を照らすついでに、地面も照らし、月に影を作っているというのだな…?」
マツーオカ将軍は、月食のメカニズムを一番に理解してくれた。
「そう!そういうこと!スゴイ!頭いい!」
思わず嬉しくなって褒めちぎると、マツーオカ将軍はドカドカと音を立てて俺に歩み寄ってきた。
「うわっ…」
顔があんまり怖いから、その迫力に思わず後ずさった。
将軍は黙って俺の足を手に取ると、伏し拝むように俺に向かって身体を折り曲げた。
「…ナイルの娘よ…その叡智よ…」
だから…
違うってば~~~~~~~~!!!