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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


「その男も女も捕らえておけ」

そう言うと、豪華なマントを翻して去っていった。
マサスは顔を撫でながら、俺とダーオカを縄で縛った。

「バカっぽいって…バカっぽいって…気にしてるのに…」

喋り方まで相葉なのに…

「うう…」

俺、一体なんでこんなとこにいるんだろう…

「おい…?泣いてるのか…?」

なんだか心配顔でマサスが俺の顔を覗き込む。
涙で顔がぐんにゃりと歪んで見える。

「い…今のファラオの名前はっ!?」

怒鳴るように言うと、マサスは後ろにドテっと尻もちをついた。

「な、なんだと!?」
「いつの王朝なんだよ!?今はっ…」

もうやけくそだった。

「か…神よ…どうなさった…」

ダーオカが縛られたまま、俺ににじり寄ってくる。

「こやつ…!やはり外国のスパイかっ…!」

尻もちをついていたマサスが立ち上がった。

「おおっ…見ろっ…」

マサスの後ろにいた兵士たちが、空を見上げてざわめいている。

「おいっ…」

マサスが怒鳴っているが、みんな空を見上げたまま騒ぎ出した。

「つ…月が、欠けているぞ!」
「これはっ…神が怒っておられる!」
「神を捕まえたからだっ…早く縄を解けっ…」

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