第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
俺、よく生きてたな…
ぞっとして、ダーオカに思わずしがみついた。
「神よ…もう、大丈夫です。俺がお守りしますから…」
「ダーオカ…」
なんだか誤解してるけど、その誤解を解く方法がない。
「この方は、俺達の住む世界とは違う世界からいらっしゃったんだ!だから…」
「ほう…では王に献上するか…」
相葉の奥から、でかい男がぬうっと出てきた。
色が浅黒く、迫力のある顔をしている。
髪は肩くらいまで伸ばしてて、豪華な装飾品と長い豪華なマントを身につけている。
「マツーオカ将軍!」
「マサス、手柄だった。このような珍しい異国人なら、王も喜ぶだろう。それにこのヘンペーパイパイならもっと喜ぶ」
へ…ヘンペーパイパイってなんだ…?
相葉のことを、マサスって呼んでる…
じゃあ、本当にあれは相葉じゃないのか…?
「ヘンペーパイパイとは失礼な!だから、異国人などではっ…」
ダーオカが叫んだが、将軍とやらはギロリとこちらを睨む。
「初めて見るが、平たい顔族であろう…?マサスもその血を引いておる。見ろ、ちょっと顔が平たいだろう?」
「ええっ…」
「でも、この女のほうが顔が平たい…純平たい顔族ってとこか…」
ダーオカが驚いて、マサスと俺の顔を見比べている。
嘘だろ!あいつのほうが顔平たいだろう!?
「で、でもっ!この方は、あのようにバカっぽい顔をしてないぞ!」
「おい!バカっぽいってなんだよ!」
マサスがムキになってこちらに向かってきた。
「あ~もう…おめえいいから、だあってろ!」
マツーオカ将軍が怒鳴りつけると、マサスは縮み上がった。