第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「ちょっ…違うっ…」
たくさんの軍人らしき男に取り囲まれた。
俺を取り押さえようと一斉に飛びかかってきた。
「違うって、相葉っ…ちょっ…」
なんでそんなにキャラ違うんだよーーーー!
ドッキリやり過ぎだってばーーーー!
「待て!その方に触れるなっ!!!」
叫び声が聞こえたかと思うと、俺を掴んでいる男たちの手が薙ぎ払われた。
「ダーオカ!」
「ご無事ですか!?ナイルの川の神よ…」
「え…は…?」
「あなたをこっそりと追っていました…すいません。こんなことになって…」
びしょ濡れのダーオカが俺を庇うように抱きしめてきた。
「この方はなあ!ナイルの川の神なんだぞ!俺は見たんだ!」
な…なんですって…?
ざわっと男たちの輪がざわめいた。
「男…おまえ、一体何を言ってる…?」
相葉が少し慄いた表情で身を乗り出した。
「この方は、異世界から来たんだ…ほら、見ろ!この美しい顔を…!」
「いや、それは…東方に住むという平たい顔族だろう!?」
「違うのだっ…俺もそれは疑った…!でも、見ろ!この方は、ナイルのワニに襲われても、傷一つ負っていない…!」
あれ…そういや、噛まれたの服だし…
どこにも怪我してないよなあ。
痛くないし。
慌ててスカートを見てみたら、ビリビリに破けてた。