第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「おいっ…女!しっかりしろっ!」
ペチペチと頬をひっぱたかれてる…
「うう~ん…」
煩いなあ…もうちょっと寝かせておいて…
「おいっ…女!しっかりしろ!」
「えぇ~…俺、女じゃないしぃ…って、あれっ!?」
目を開けると、眩しい。
あれっ…さっきまで夜だったのに…
それになんだか、体がゆらゆらしてるように感じる。
よくみると、明るいのはでっかい松明が何個もあるからで…
「えっ…えっ…」
キョロキョロしていると、俺の頬を叩いていたと思われる男が立ち上がった。
「よし、無事だな…おまえ、ワニに食われそうになっていたんだぞ…」
「えっ…ええっ!あっ…」
ここ、さっきの軍船の上か!?
松明の灯りの届かないところは見えないが、ギイコギイコ漕いでいる音と水音が聞こえてくる。
呆然としていると、男が再びしゃがみこんだ。
「おまえ…平たい顔族か?」
「えっ…」
よく見ると、その男…
ボブヘアではあるけども、見覚えがあった。
「相葉!相葉じゃないか!?」
「えっ…」
「俺だよ!大野!ああ~~~~やっぱ壮大なドッキリだったんだ!」
「…何を言ってるんだ、この女…」
相葉はものすごーく冷たい目で俺を見た。
バサリと緑色のマントを翻して立ち上がった。
「おい、逃亡奴隷かもしれん。身元を調べろ」