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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -


その年の正月は、探偵さんにお金を払ってしまったから、すっからかんで。

どこにもいけずに、アパートでふたりでゴロゴロしてた。

日がな一日、智はあのときもらった音声データを、音楽プレイヤーに入れて、イヤホンで聞いてる。

もう何度も何度も…同じことしてる。

「なにかわかるの?」
「んー…わかんね」

結局、潤の言葉の意味はわからなかった。

もしかして俺たちのことなんじゃないかとは思うけど…

確信は持てなかった。

エアコンと電気ストーブで温めた室内には、他に音もなく。
隣近所はみんな、帰省してるのかな。

とても静かだった。

ベッドに凭れながら、ふたりで身体を寄せ合って。
ただ智の熱を感じていた。

お昼すぎ、部屋のドアをノックする音がした。

「誰だろ…」

智もわかんないって顔をするから、ドアスコープから覗いた。

「え…?」

そこには、翔ちゃんの姿があった。


「ごめんな。突然来て…」
「ううん。嬉しい。入って」

両手に買い物袋を下げてる。
翔ちゃんは玄関に入ると、少しはにかんだように笑った。

「あけまして…おめでとう…」
「うん…あけましておめでとう…」


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