• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -


調査結果は、驚くものだった。

翔ちゃんの生活は、順調だった。
会社では厚く信頼され、主任になってますます順調で。
家庭でも、家族円満で問題はない。

どこにも、あんなに翔ちゃんを窶れさせる要素はなかった。

「え…どういうこと…?」

由美さんは俺たちを交互に見ると、ボイスレコーダーを取り出した。

「…最後に、これを…」

高級レストランで、撮れたものだという。

「今月の8日…ですね。一緒にいるのは、相葉さんと松本さんです」
「え…?」
「そう。この前お聞きした、同級生…幼馴染ですよね?」
「はい…」

由美さんが、三人でテーブルについている写真を見せてくれた。
確かに、翔ちゃんと潤と雅紀だった。

「音声は残念ながら小さくて…鮮明にする処理は施してありますが、ほとんど聞き取れません」

由美さんがボイスレコーダーを操作して、再生ボタンを押した。

「でも…ここだけ、聞き取れます」

少し雑音が入ってて…
でも、遠くで潤の声が聞こえた。

「あ…潤…」

由美さんは頷くと、ボリュームを上げた。

カチャカチャと食器とフォークが当たる音の合間に、かすかに聞こえた声…


”あの二人はそれを一度乗り越えたんだから…”


”できるはずだ”


/ 831ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp