第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
ごくり、と相葉の喉が鳴った。
「どうしたらいいんだろ…」
こんな外国で…言葉はなんとか通じるけども、頼れる人もいなければ、知り合いもいない。
日本に居るY名誉教授に連絡を取って動いてもらうにしても、時差があるからタイムラグが出る。
「ドウシタ?」
テントの幕をまくり上げて、ニノールが怪訝な顔をしてこっちをみている。
「な…なんでも…」
相葉がパソコンの画面を隠そうとしたとき、松本がそれを止めた。
「待って…」
「えっ?」
「ニノールのようなひとに、付き添ってもらったらいいかも…」
「ええっ…」
「だって、ニノールはここの国の人だし、従軍経験もある…ボディガードと情報屋として雇ったらどう?大野准教授…」
「えっ…えっ…でも、金…」
「そんなこと言ってらんないでしょう!?櫻井教授の命がかかってるんですよ!?」
い…言われてみたらそうだ…
もし櫻井教授になんかあったら…
俺、責任取れないもーーーーん!!!←そこか
結局、松本と相葉がニノールと交渉して、ニノールの交代要員の確保と、俺達のカイロ行きのボディガードを依頼することに成功した。
ニノールの交代要員の人が到着次第、俺達はギザを発つことに決まった。