第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「うん…教授らしくないよね…」
思わず見上げてきた相葉と目を合わせて考え込んでみたが、全く二人では意味がわからない。
「おつかれーっす!」
賑やかな足音を立てて、テントに学生が入ってきた。
「おお…松本…」
「あ、おつかれっす。あのニノールってヤツ、すんげえ睨んで来るけど、なんなんすかね?」
「あ、おまえも冷たくされてんだ…」
「へ?相葉先生も?」
「おお…なんだろうな?」
「なんか、あいつ、大野准教授のボディガード気取りなんすよね…」
「ああ!そういうことか…」
ふたりは、俺の顔をじーっと見てきた。
「もお…なんだよそれ…」
大体、ニノールに会ったのは、ここにきて初めてだ。
門番みたいな仕事してるだけだから、そんなに話すことはないし、別になにかをあげたわけでもない。
「好きなんじゃね…?」
「は?」
「あっ…そうかも…」
「な、何いってんだよ…」
「いやそうだね。きっと!俺にはわかる!」
「松本…?」
「だって、大野准教授かわいいもん!」
「は、はあ!?」
「そーだよなあ!俺もそう思ってたんだよ!」
「あ、相葉…?」
「ですよねえ!」
なんだかふたりは意気投合し始めた。