第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
テントは、無線やら何やらの機械でごちゃごちゃしている。
こんだけ機材があるから、外には銃を持った番人を雇っている。
…なんでも持っていっちゃうからね…うん…
だって、ピラミッドだって昔は大理石で覆われていたけど、みんな持って行っちゃったからね…うん…
「よ、ニノール」
「おーのサン、ドウゾ」
番人のニノールは色白の平たい顔で、まるで日本人みたいな顔をしている。
日本に留学してたこともあるみたくて、日本語も多少できる。
でっかい銃を肩にかけて、テントの入り口を開けてくれた。
あんなかわいい顔してるけど、従軍経験があるから動きには無駄がない。
「おーちゃん、おわっ…」
テントの入口で、相葉がニノールに止められてる。
「なんだよお!俺っ!相葉!」
顔に掛けてた布切れを解いて、顔を見せている。
そうしてないと、砂が鼻やら口から入ってくるから…
「アー…あいばダッタカ…」
「なんで呼び捨てなんだよ!?」
「ハヨ、イケ」
「だからなんで俺にはそんな口きくんだよっ!?」
ニノールはニコニコしながら、相葉をテントのなかに蹴り入れた。
「…あいつ、俺とおーちゃんの扱い違いすぎ…」
ブツブツ言いながら、相葉は向かいのパイプ椅子に腰掛けた。