第6章 夏の終わり
久しぶりに触れた唇は…
熱くて、少し乾いてた。
「和也…」
翔にいの体温が、匂いが…
どんどん狭い車内に満ちてくる。
「翔にい…」
掠れた声しか出ない。
手が震える。
腕を伸ばして、助手席のシートを倒すと、翔にいの上に覆いかぶさった。
「和也…こんなとこで…」
「誰も来ないよ…」
翔にいは戸惑って、俺の体を押そうとするけど、ギュッと抱きしめて身動きが取れないようにした。
もう、我慢できなかった。
早く、翔にいに触れたかった。
触れるだけで良かった。
ただ、手触りの良い翔にいの皮膚に触れたかった。
手で唇で、感じたかった。
啄むように唇で触れると、翔にいの唇が少し開いて。
齧り付くように侵入した翔にいの口の中は甘い。
もっと甘い蜜を吸いたくて。
思い切り吸い上げたら、舌が絡んできた。
「ん…かず…なり…」
甘い吐息を含んだ声で呼ばれて、血が逆流するように頭に登って。
わけがわからなくなった。
昼間の、明るい…こんなボロい狭い車の中で…
遮るものも、目隠しになるものもなにもないこんな場所で…
俺は翔にいを貪った。
胸までシャツをたくし上げて、胸の先端に吸い付く。
「あっ…」
声をあげた翔にいの体が、少し跳ねた。