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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第6章 夏の終わり


病院から、翔にいの家だった所までは一時間ほどかかった。

家の前の広場だったとこに車を入れると、翔にいはじっと家だった場所を見ていた。

シートベルトを外して、ハンドルに体を凭れさせながら俺もその場所を見つめた。

「…焼け跡は、おじさんたちが手配して片付けたよ」
「うん…」

その場所には、今はもう草が生い繁っていて。
時々、おじさんが来て除草するんだけど、どうにも間に合わないみたいだった。

「…なにも…残ってなかったって…」
「…そっか…」

母屋にあったものは、尽く焼け落ちて。
残ったのは納屋と車庫だけで…

あの火事の後、翔にいは暫く会話をすることもできなくて。
通帳やいろんな諸手続きは、おじさんやうちのかあちゃんが戻ってきて代行した。

だから、なんとか失ったものは最小限にはできたと思うんだけど…

「和也…」
「え?」
「和也はその…知って、た?潤のこと…」

前を見たまま、翔にいは俺を見ないで質問してきた。

「…うん…知ってた…」
「…そっか…見えてたのか…やっぱり…」

この家で過ごした日以来、翔にいとふたりきりでちゃんと話すのは初めてだった。

なんだか、怖い。

でも、ちゃんと話しておかないといけない気がした。

「聞いても…いい…?」

翔にいはゆっくりと俺の方を見た。

「ああ…」

少しだけ諦めたように、息を吐き出した。

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