第6章 夏の終わり
それは表向きの理由で…
アヘンの離脱症状と、ショック状態が長く続いている。
相葉先生が見つけてくれた半隔離施設で、治療と療養をしてる。
「……ほんとに、こっちに就職するの?」
「うん…」
「でも、和也くんさ…」
「なんだったら…大野ガーデンで雇ってくれない?」
「えっ?」
「でも俺、あんまり肉体派じゃないからなあ…」
「和也くん…」
「医療事務の資格取って、相葉医院でも良いなあ…」
「…何いってんだよ…」
呆れたみたいに前を見た。
「何って…Iターン就職って歓迎されてるんだよ?この前も県の就職説明会でさあ…」
「和也くん」
一気に声が、低いトーンになった。
「俺は真面目に言ってるんだよ?」
「…うん…」
もちろん、両親にもおじさんたちにも大反対された。
こっちでなんか就職してどうするんだって。
仕事だって東京よりもないし、賃金だって低い。
それに、一度も住んだこともない土地なのにって。
でも、本家の跡地を翔にいに代わってなんとかするからって、説き伏せたんだ。
「…そんなに翔の傍に居たいの…」
やっぱり…
大野さんや相葉先生は誤魔化せないな…
「…うん…そだね…」
「そっか…」
そう答えると、大野さんは複雑そうに眉を下げた。