第6章 夏の終わり
大野さんの家に戻ると、すぐに大野さんは車のキーを取り出した。
「多分、家に戻ると思うから、先回りしよう」
そのまま、大野さんの車に乗り込んだ。
相葉先生に連絡しながら、翔にいの家に向かった。
「凄い力が出るって…わかってたのに…」
大野さんはずっと相葉先生から、薬物中毒のことを聞かされていたらしい。
もしも翔にいが暴れだしたら、凄い力が出るってことも聞いていたんだ。
「油断した…」
俺に言ってるのか、独り言だかわからない。
俺自身も、あんな凄い力で振り払われて、どうにもできなかった。
大野さんになんて言っていいのか、わからなかった。
翔にいの家に行く間、ずっと車窓から翔にいを探してた。
でも、見えるのは暗闇の中の田舎の風景だけ。
生き物の気配を感じることすらできなかった。
翔にいの家に着いた。
でも家は闇に包まれていて、人の居る気配がしなかった。
「まだ着いてない…」
「ちょっと周りを探してみよう」
暫く家の周りを探したけど、どこにも居なくて…
探してるうちに、相葉先生のセダンが家の前の広場に入ってきた。
「翔は!?」
車から降りると、相葉先生は駆け寄ってきた。