第6章 夏の終わり
翔にいがガタガタ震えだした。
「ここ…どこ…なんで智くんがいるの…?」
「翔、落ち着いて…和也くん…」
俺と目が合うと大野さんは頷いた。
そのまま、スマホを取り出した。
電話を掛けてる。
多分、相葉先生だろう。
「翔にい…あのね…」
「和也っ…嫌だっ…家にっ…家に帰るっ…」
「落ち着いて!翔にい!」
物凄い力で振り払われた。
「翔にいっ!」
パニックになった翔にいは、暴れだした。
「嫌だっ…帰るっ…」
そう言ってベッドから飛び降りた。
「待ってっ…!」
部屋から出ようとする翔にいの前に、大野さんが立ち塞がった。
「翔っ…落ち着けっ…!」
「嫌だ…だめ…いやだぁっ…」
叫びながら翔にいは、大野さんへ突進していった。
「翔っ…」
抑え込もうとした大野さんを突き飛ばして、翔にいは外に出ていってしまった。
「待てっ…!」
二人で追いかけたけど、翔にいは夜の闇に消えてしまった。
暫くふたりで探し回ったけど、見つからなかった。
「あんな…凄い力出るんだ…」
大野さんは呆然としてた。
「油断した…雅紀に連絡しなきゃ…」
暗闇の中、ぼんやりと花のビニールハウスだけが明るかった。