第6章 夏の終わり
「俺…どうしたんだ…?」
「翔にいっ…気がついたの!?」
思わず起き上がった。
翔にいは頭を押さえながら、混乱してるようだった。
「ここ…どこだ…?今、何日……?」
「翔にい…」
今までぼーっとして口もきかなかった翔にいが、やっと正気に戻って、安心して少し泣けた。
なんにも言えなくなった俺は、翔にいをただ抱きしめた。
「和也…?どうしたんだ…?」
翔にいは、更に細くなった腕を俺の背中に回して、ゆっくりと撫でてくれた。
「翔にぃ…」
「和也…どうした…?なんで、泣いてる…?」
いつもの、翔にいだ…
「…ずっと、夢みてたよ…」
「え…?」
「和也が、ずっと傍に居る…夢…」
翔にいが微笑んでるのがわかった。
ああ…よかった…
伝わってたんだ…
「…ずっと、傍にいる…」
「え…?」
「翔にいの…傍にいるから…」
「和也…?」
その時、部屋のドアが開いた。
「和也くん…?話し声がするけど…」
リビングからの明かりと一緒に、大野さんが部屋の中に入ってきた。
「え…?智くん…?」
「翔っ…!?目が覚めたのか!?」
「え…ちょっと待って…え…?どういうこと…?」