第6章 夏の終わり
あれから、翔にいは寝てばかりだった。
たまに目が覚めても、夢のなかにいるみたいぼーっとして、喋ることすらできないようだった。
だから、相葉先生や大野さんの手の空いてるときに、交代で翔にいの家に行って、アヘンを探す時間もあった。
でも、見つからなくて…
ただ、家の裏にある山を少し登ったところに、ケシの花畑だったところは見つけた。
そこは大野さんが、でっかいバーナーみたいなのを使って焼いてしまった。
それから、相葉先生と一緒に役場に行って、翔にいが長期病気療養が必要だということを、身内として届け出ることもした。
ただの病欠にしておくには…ちょっと状況が厳しすぎる、と言われたから…
相葉先生に書いてもらった診断書を出して、翔にいの職場の偉い人に少し話をして。
最近、翔にいが急激に痩せたので、職場の人たちはすぐに信じてくれたようだった。
見舞いに来たいと言われたけど、相葉先生に教えられたとおり、県外の病院に入院するというということにして、なんとか誤魔化した。
おじさんやうちのかあちゃんたちには、ギリギリまでなにも知らせないことにした。
本家の跡取りに何かあったら、あの人達飛んでくるだろうし…
翔にいの職場の人たちから、話が伝わることは予想できたから、俺はずっと大野さんの家に潜んでるって形になってしまった。