第6章 夏の終わり
抱きしめる…?
突然、目が覚めた。
部屋の中は真っ暗で。
今が何時なのか、わからない。
起き上がって、翔にいの顔を覗き込んだ。
昨日から、一度も目を覚まさない翔にいの細い腕を掴んだ。
「翔にい…」
暗闇の中でよく見えないけど、翔にいは目を閉じてる。
まだ眠ってるみたいだった。
「…寂しかったの…?」
年が…離れてるから…
正直、俺は翔にいのこと、全然知らなかった。
こんな関係になっても、職場のことや友達のことなんて聞いたこともなかった。
何も…翔にいのこと、わかってなかったんだ。
「あの人だけが…翔にいの支えだったの…?」
あの人は…
ずっと翔にいの傍に居たんだろうか…
翔にいが、寂しくないように
泣かないように
ずっと、ずっと…傍に居たのかな
「翔にい…」
ゆっくりと体を起こすと、ベッドに入った。
あの人に言われたとおり…
ぎゅっと翔にいの体を抱きしめた。
「ずっと…傍にいるから…」
眠ってるから、聞こえてないけど…
「…好きだよ…翔にい…」
ずっと…
ずっと言いたかったことを、やっと…
この夜やっと俺は、言うことができた。