第6章 夏の終わり
その夜、夢を見た。
夢の中で、俺は翔にいの家に居て。
縁側には、親戚のガキどもがいて、座敷で大人たちが酒盛りをしてる。
その中に、あの人がいた。
青白い顔をしてたけど、みんなと一緒に笑って…
そして楽しそうに、酒を飲んでる。
話しかけたいのに、声が出なかった。
仕方ないから、あの人をずっと見てた。
親戚のガキどもが、あの人に気づいて周りに群がった。
あの人は、苦笑いしながら縁側に出ると、一緒にガキどもと遊び始めた。
不思議なことに…
その中には、ガキの頃の翔にいも居た。
あの人は…
小さな体の翔にいを、愛おしそうに抱きしめて…
そして、俺を見て悲しげに眉を下げた。
ごめん…和也…
翔を、助けてやって…
俺ができることは、もうない
その瞳からは…
綺麗な涙が一粒、零れ落ちた
待って…
俺に、何ができるっていうの…?
相葉先生や大野さんが居ないと、なんにもできないのに…!
声を出したいけど、苦しくて出せない。
でも俺の言葉は、あの人に届いたみたくて、首を少し横に振ると、小さな翔にいを俺に預けてきた。
傍に…
おまえは、生きてる
抱きしめるだけで、いい