第6章 夏の終わり
『今日は休みで…電話は転送にしてるんだけど、出られなくてごめんね…で、和也くんだよね?どうかしたの?』
俺の事を覚えててくれたみたいで、すぐに相葉先生はわかってくれて助かった。
「あ、あのっ…翔にいが目を覚まさなくて…」
『え…?』
「あのっ…誰にも…誰にも言わないで…来てもらえませんか…」
何が原因かなんて、わからない。
わからないけど、こんな状態の翔にいを、他の誰かに見せるのはなんか嫌だった。
なんでかわからない。
でも、まずい気がしたんだ。
それに…この痩せ方は異常で…
もしかして何かの病気なんじゃないかって…
不安でしょうがなかった。
『…わかった…すぐ行くから』
相葉先生は、すぐに了解してくれた。
今、出先だからちょっと時間がかかると告げて電話は切れた。
やがて、家の外で車の音が聞こえた。
スマホをみたら、あれから一時間程経っていた。
慌てて家の外まで出ると、家の前の広場に白いセダンが停まっていた。
そして、あの花壇の前に、相葉先生とみたことない男の人が立っていた。
「相葉先生!」
声を掛けると、深刻な顔をした相葉先生がこっちを見た。
「ああ…和也くん…」
もうひとりの男の人は、花壇にしゃがんで、枯れた花の残骸を手にとって見ている。