第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -
「和也…」
思いに沈んでいたら、いつの間にか智が俺を見上げていた。
「欲しい…」
「うん…」
俺たちは…
「抱いて…」
翔ちゃんを、求めてる
いつからかわからないけど…俺と智は惹かれ合ってた。
それと同時に、翔ちゃんも…俺たちのこと思ってくれてるんじゃないかって…
俺も智も、そう思ってた。
いつでも俺たちを見守る、優しい目…
でも、俺たちは臆病で
前に踏み出すことなんてできなかった
この関係を壊すことになるんじゃないかって
だったら、一生このままでいいんじゃないかって
そう、思ってた
でも、二人でこのアパートで暮らすようになって…
一緒に飯を食って、一緒に寝て…
そんな生活してたら、いつの間にか手を握って
身体に触れて
キスしたら、止まれなかった
「キス、して…」
智の薄い唇が、近づいてくる。
柔らかく重なると、すぐに離れていった。
「智…」
すぐに智の腕が俺を抱きしめた。
「和也…」
不安で…いっぱいなんだ…智も…
「ん…大丈夫だよ…智…」
「うん…」
智の背中に腕を回すと、俺もぎゅっと抱きしめた。
そのままカーペットの床に押し倒される。