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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第6章 夏の終わり


青白い光の中で眠っている翔にいは、やっぱり服を着ていなくて。

さっきあったことは、夢じゃなかった…?

じゃあ、あの人…
消えてしまった白い影…
あの人はやっぱり…

翔にいを抱き起こそうと、部屋の中央まで歩いた。
しゃがんで翔にいの体を抱き起こそうとした時、ふと扉の閉じてる仏壇を見上げた。

「…あっ…」

仏壇の上にかかっている写真の額。
長押の上に何個も何個も掛けてある、その中の一個。

あの人…

あの白い影の人



あれは確か…
死んだじいちゃんの長兄…

そう
俺や翔にいの大叔父に当たる人だって…

その人は、東京の大学に行っていて…
確か、学徒出陣で…

戦争に行って

亡くなったって



ゾワリと背中に寒気が走った。

それが風邪のせいなのか、なんなのかわからない。
しゃがんだまま、その写真を見上げて冷や汗が出てくる。

早く、ここを出なきゃ
早く仏間から、出なきゃ

そう思うのに、動くことができなかった。

突然、外からパラパラと雨の音が聞こえてきた。
あっという間に、その音は激しくなる。

ピカリ、部屋の中が雷の光で照らされた。

その光が引いた瞬間、障子戸の前に


あの人が立っていた
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