第6章 夏の終わり
目を開けると、青白い光の差す室内。
翔にいの部屋だ。
布団の上で俺は倒れてた。
なぜか翔にいの服を着てる。
体を起こすと、殴られたような頭痛。
思わず蹲って、その痛みを逃した。
やっと痛みが和らいで、今度はゆっくりと顔を上げた。
今が夕方なのか、朝なのか。
とにかく外は青白く薄暗い。
布団の傍らには、外国のっぽい壺みたいなのが転がってる。
それにゴム管みたいなのが繋がってて…その先には煙管みたいなものがついてるのが転がってた。
「これ…なに…?」
その壺の傍らには、缶のケースが落ちてて。
そこから翔にいの甘い匂いが漂ってた。
「翔…にい…?」
部屋の電気はついてなくて。
障子越しに入ってくる青白い光だけ。
翔にいの姿はどこにもなかった。
頭は少し痛かったけど、体は不思議に軽い。
立ち上がって、翔にいの部屋の襖を開けた。
廊下は真っ暗で、何も見えない。
ポツンポツンと足元灯が見えて、それを目で追っていくと、部屋から廊下に向かって白いシーツがはみ出てるのが見えた。
そっと、そのシーツの出ている部屋の前に立つ。
ここ…仏間だ
開いたままの襖の間から、中を覗く。
翔にいはそのシーツを纏って眠っていた。