第6章 夏の終わり
朝の光が、だんだん満ちてくる
動けない俺の上で、生白い翔にいの肉体が弾んでる
赤い唇が、ずっと艷やかに笑ってる
その唇を見ながら、何度も俺は果てた
こんなに頭が痛いのに
こんなに体に力が入らないのに
何度も何度も
翔にいの熱い中で俺は果てた
狂おしいほどの快感だった
やがて…
明るい部屋の中で、翔にいが果てる
「もっと…ねえ、もっと…」
妖艶な笑みを浮かべて
ベロリと赤い唇を舐める
「翔…にぃ…」
これは…誰なの…?
目の前が薄く暗くなった
そのまま闇の中で俺は
翔にいを探してた
走っても走っても
翔にいは見つからない
どこを探しても
見つからない
待って
行かないで
俺をひとりにしないで
翔にい…
翔にい…
甘い匂い
翔…にい…?
目を開けてるのに、真っ暗で
何も見えない
「和也…」
くすくす笑う、翔にいの声
「ねえ、これ…吸って…?」
甘い匂いのする管を咥えさせられた
「楽になるから…ね…?」
強烈に甘ったるい香り
その香りが口の中に入ってくる
言われた通り吸い上げる
「ごほっ…うっ…ごほっ…」
甘い煙みたいなのが、喉の奥に滲みる
「大丈夫…楽になるから…大丈夫…」
繰り返し囁く声
暗い
何も見えない