第6章 夏の終わり
廊下の板が少しひんやりとしてる。
明け方は涼しくて、家も心地よく冷えてるみたいだ。
昼間はまだちょっと暑いけど。
ひたひたと素足のまま歩いて部屋に入る。
ここは窓を開けてないから、少し昼間の熱気が残ってるのか、ムッとしてた。
充電器を取って立ち上がると、隣の部屋から物音が聞こえた。
気の所為かなとも思ったんだけど、襖で仕切られてるから少しだけ開いて隣の部屋を見てみた。
そこには、翔にいが横たわっていた。
驚いて、声も出せなかった
だって、翔にいは裸だったから
素肌に白いシーツを纏ったままの姿で、横たわってる
そして、あの甘い匂い
恍惚とした表情で、翔にいは腕を伸ばした
その先には、白い影
裏庭に面した障子から、朝の薄暗い光が部屋をぼんやりと照らしてる
その白い影は、あの人だった
青白く見える部屋で、白い影は翔にいの手を取った
「…いかないで…」
そうつぶやいた翔にいの傍らに跪くと、悲しそうな顔をして首を横に振った。
「お願い…傍に…」
思わず、襖の引き手に掛けてる手に力が入った。
ガタっと音がして、翔にいがこちらを見た。
その瞬間、その白い影は消えた